ヒダ山に同じ柄を出す。
こんにちは
今回のテーマは、生地の横リピートの話です。
柄物生地には、縦リピート/横リピートがありますね。※縦方向と横方向の双方にある「リピート」とは、簡単に言いますと柄の大きさでその大きさで柄が繰り返されます。
縦リピートは、カーテン召し合わせ部分で、柄がずれていると装飾上問題も発生することが多いので、原則縫製屋は柄を合わせます。
横リピートに関しては、ヒダ山を取ることで柄の出方が気になることも少なく、規則的に山と間隔守って縫製されます。
今回は、横リピートを生かして、山と間隔に同じ柄を出す説明をします。
〇横リピートの大きさによって、「3つ山」か「2つ山」に別けることになります。
・3つ山を作る場合:ヒダに使用する寸法は12㎝前後必要です。(※前回の「2つ山のススメ」でありましたように、ヒダ間隔の基準を12㎝とお話しましたこと思い出してください。ヒダに12㎝、感覚に12㎝ですから、この時点で約2倍の計算が成り立つのです。)
さて、同じ柄を出すとき、横リピートは、24㎝前後が適した柄の大きさです。すると山と間隔に別けやすく、同じ柄も出やすいと気が付きますよね。
画像の生地は、横リピート 約25.5㎝です。 この時、どの柄をヒダ山にするかは、ご発注者から指示を頂かないとなりません。
仮に、花柄がある部分を山にして、ストライプをヒダ間隔にしたとき。縫い代は以下のようになります。
右から、2.5㎝・2.5㎝・3㎝とあります。この部分はサイド折り返しに当たります。ですから、縫い代に8㎝使い、右側の斜線分は、余分なので幅落としされます。
ヒダ山は、3㎝の次から作り始めます。仕上がりととしては、下の画像です。
といった具合に、山に花柄、間隔にストライプとなります。
この指定柄を山に出すには、必要ヒダ倍率は、2.3倍が必要となります。先ほどの幅落としが少ないので、なぜ?と思われるかもしれませんが、もしストライプを山に出す指示を頂いた場合、以下のような幅落としします。
はじめのストライプ柄は使用できないからです。隣のストライプ柄を使用します、縫い代8㎝も必要ですから、斜線分が幅落としの対象になります。生地の端から約15㎝はロスとなります。ロス(約15㎝)と縫い代(約8㎝)を計算に含めないと指定いただく柄が出せないことになります。(合計約23㎝(片開き分ですから両開きは倍の約46㎝))
なので、ヒダ山に指定柄を出すには、「必要ヒダ倍率は2.3倍で計算してもらいます」ただし「仕上がりヒダ倍率は約2倍」で仕上がります。ここが勘違いされやすいのです。
・2つ山を作る場合:横リピート24㎝前後の柄は適していません。ヒダに使用する寸法は10㎝前後必要とした場合、横リピートが約20㎝前後や40㎝前後、60㎝前後で柄構成の規則性を加味して2つ山になります、生地の柄によって同じ柄が1つおきや2つおきなど交互や数個飛びといった具合で同じ柄が出てきます。生地柄をしっかり見ていただいて、規則性を確認してください。
上記生地の場合、横リピート:61.4cm(白矢印から白矢印)で、横1リピートに柄のパターンが、A、B、C、Dの構成です。
ストライプにも違う柄で出ていますので、厳密にいうと、A~Dはすべて別柄です。なので、A柄は、3柄飛んだ先にA柄が出ます。この時、単純計算は61.4cm÷4で、1柄 約15cmとなり、山と間隔は以下の画像です。
約15cmを、山と間隔に振り分けると、山に約7㎝ 間隔に約8cmに振り分けます。間隔の約8cmが良いかの判断は必要ですが、柄を出す可否を問われれば可能である。ということです。
※ただし、幅を落とす作業は必要とです。
カーテンは嗜好品です。同じ柄が出て綺麗と思う人もいれば、そうでない人もいます。オーダーカーテンであればなおさら対面して生地を前に説明をして、ご要望をヒヤリングをして現場で綺麗にお納めすることでお客様の「きれいなカーテンですね」という一言を頂けることで我々は救われます。今後もカーテンに携わる者としては、お客様のご要望にお応え出来るようにしていきたいものです。
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きれいに見せるには、しっかり計算しなければならないんですね。ましてやオーダーだと、余計適当にやる訳にはいかないので、縫製される方のご苦労が目に浮かびます。
この仕様に関しては、販売する方、採寸・工事をする方、縫製する方が、お客様に経験や知識や情報を提供することが大切なことだと思います。そして、このような倍率がしっかりあるカーテンヒダの綺麗さを経験されたお客様の満足度が上がることで、カーテンの価値観が変わってくるのだと思います。